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自社の電話当番をAIに任せてみた

公開日:2025/12/05
技術ノウハウ・Tips

こんにちは、FREEMINDのAI担当です。

今日は、社内で長年のちょっとした悩みだった「電話当番」を、AIでまるごと解決した話を紹介します。

テーマは――電話当番のAI化です。

開発者にとって“電話”は鬼門

開発者は普段、チャット中心のコミュニケーション。

だからこそ、突然の電話対応にはどうしても苦手意識があります。

FREEMINDでも、土日祝は開発者の当番制で電話を受ける運用をしていましたが、年に数回しか回ってこないため、電話当番のルールを忘れることもよくあります。

  • 「折り返し先、聞き忘れた…」
  • 「転送ってどうやるんだっけ?」
  • 「あれ、この電話、どの顧客だったっけ?」

電話対応に慣れていないメンバーも多く、

顧客名や用件を聞きそびれて焦る。自分自身、何度もやらかしました。

数本の電話対応のために出社を余儀なくされ、精神的な負担も大きい。

この運用、なんとかならないか?

そこで思い切って発想を変えました。

AIに電話を取らせたらよいのでは?

目指した仕組み(ゴールの定義)

目標は明確です。

AIが人の代わりに電話を受け、必要な情報を漏れなく取得し、すぐに共有する。

会社に誰もいなくても、電話対応が止まらない状態をつくること。

取得するのは、お名前・会社名・お電話番号・担当者名・用件の5つ。

これさえ聞ければ、担当者がスムーズに折り返せます。

電話当番で聞くべき内容はあらかじめ決まっているため、自由な会話形式ではなく、スロット埋め型で設計しました。

つまり「決められた項目を、順序立てて自然に聞き出すAI」です。

システム構成概要(使用技術と全体像)

構成はシンプルですが、動きは実用的です。

  • Vonage:音声通話のハンドリング(発話・受話・無音検知)
  • AWS AppRunner:AI応答処理を担うサーバ
  • OpenAI GPT:応答生成(自然言語処理)
  • Chatwork:受電内容を自動通知・共有

Vonageがリアルタイムに音声を中継し、AppRunnerがリクエストを受け、AIがテキストを処理。

その内容をChatworkに即時投稿することで、休日でも人を介さず対応が完結します。

LangGraphによる会話制御(状態保持と自然な進行)

会話の流れを自然に保つために採用したのが、LangGraphです。

LangGraphは会話の「状態」として管理し、複数のステップを順番に実行させたり、条件によって処理を分岐させたりする仕組み。

  • どの質問を済ませたか
  • 次に何を尋ねるべきか
  • 必要な情報がすべてそろったか

これらをLangGraphが追跡し、状況に応じて会話の流れを自動制御します。

おかげで、順序の乱れや聞き漏れが発生しない会話が実現しました。

“AIが自由に話す”のではなく、“設計どおりに考えながら話す”仕組みです。

ルールベースとAIの使い分け(処理の最適化)

AIは万能ではありません。

AIを使うと柔軟な応答が可能になりますが、その分処理時間が長くなり、会話のテンポが悪くなります。

そこで、処理内容によってルールベースとAIを分担しました。

  • ルールベース処理(処理速度:高)
    • 電話番号のように形式が明確な情報を高速に処理
    • 即時応答が可能で、会話が途切れず自然
    • 正確さとスピードを優先する領域
  • AI処理(処理速度:低)
    • 文脈判断が必要な発話(例:「それで大丈夫です」「お願いします」など)
    • 任意の会話の中から情報を抽出する柔軟な処理
    • ルールで処理しきれなかったケースをフォロー

このように、ルールベースでテンポを保ちつつ、AIで文脈を補う構成にすることで、自然さと正確さを両立できるようになりました。

導入効果(成果)

導入後、休日の電話当番は完全に不要になりました。

AIが代わりに受電し、要約をChatworkに即時共有。

誰も出社せずに、対応漏れもゼロ。

音声品質も安定しており、運用の移行もスムーズでした。

「もう当番表を作らなくていい」「電話をとらなくてよくなった」と、社内でも好評です。

今後の展開

今後は、この仕組みを他業界にも展開していく予定です。

  • 飲食店の予約電話対応
  • 医療機関の案内業務
  • コールセンターの休日・夜間応対

AIが人を支える仕組みとして、業界ごとの応答テンプレートやルールを組み込むことで、より多くの現場をサポートできると考えています。

最後に

自分たちの不便を、自分たちの技術で解決する。

いつだって、現場の「課題」がプロジェクトの出発点です。

FREEMINDでは、課題から生まれるAIソリューションをこれからも作り続けていきます。


執筆者:藤井 慎二(プロフィール)

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